オーパーツ「ヴォイニッチ手稿」と「薔薇十字団」 前編(1/2)

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 ヴォイニッチ手稿、オカルトに熱心な読者諸氏はおそらく耳にしたことがあるだろう。耳にするだけでなく、実際に大学のライブラリーからダウンロードして解読しようとチャレンジした人も多いだろう。私もある本のために何度も見返したことがある。
 ヴォイニッチ手稿はこれだけの情報社会の中でも未だに解明されていない、実際の所は解明する労力が割かれていないだけだろう。ヴォイニッチ手稿の内容に価値が無いと判断されている限り解明されないのだ。本当にそうだろうか?
 今日はヴォイニッチ手稿の歴史、何が書かれているか、様々な説と暗号との関わりについて調べていきたいと思う。

 

基礎的な部分

 まずは軽くおさらいと言うことで「ヴォイニッチ手稿」とはどんなものなのか再確認しよう。

 オーパーツとされているが、超文明的な要素やロストテクノロジーといったものではない。およそ240ページに及ぶ古文書のことである。
 各ページには主に実際には存在にしない植物、女性の裸体が描かれ、文字のようなものが書かれている。他にも大きく折りたたまれたページには魔法陣のような紋様や、宇宙を感じさせるサークルなどが描かれている。
 一見すると薬草の解説本のように感じるのではないか。他に特徴的な絵としては女性がバスタブのようなものに浸かって、それが植物と繋がっている部分であろう。このような絵から想像するも、書かれた文字は解読できなかった。

 近年では、解読されていない古文書という点だけで注目されオカルト研究家や暗号化によって様々な説が唱えられてきた。

 

書かれている内容とは

 ここではいくつか仮説を紹介していこう。

薬草の解説本

 ヴォイニッチ手稿は特に錬金術との関係が深かった。そのため、ここに書かれた内容というのは薬草の解説書であるとする説は多い。しかし描かれている植物は地球上に存在しないという事から解明には至らなかった。
 錬金術は秘術でもあるので暗号化されていると考えれば何かしらの視点の変化は必要だろう。例えば植物の根だと思っている部分が葉である見方なども考えられる。また何種類もの薬草を混ぜ合わせるようなポットと共に描かれたページもあるため、何かしらの薬の作り方を示唆しているものと考えられるという点も見逃せない。

 

錬金術の書物として高く売りつけるために作られた意味の無い本

 この説はヴォイニッチ手稿の歴史と深く関わっている。そもそもヴォイニッチ手稿が世に知られるようになったのは1930年代以降である。様々な所有者を経て1969年にアメリカのイェール大学に寄贈されており、現在は同大学のバイネッケ図書館に保管されている。
 手稿の表紙には一枚の手紙が添付されていた、この手紙には「16世紀後半、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世が手稿を600ダカットで入手した」と書かれている。これがヴォイニッチ手稿の最古の記録だろう。
 ルドルフ2世は錬金術に興味を示しており、多くの錬金術師のパトロン(支援者)となっていた。
 そんなルドルフ2世に価値のある錬金術書として売りつけるために誰かが作ったのではないか、という説である。

 

異世界の資料集としての本

 2011年に行われた羊皮紙の年代測定ではおよそ1404年-1438年という結果が出ている。16世紀後半にはルドルフ2世に渡っていることから、その間に書かれたものとするのが一般的だろう。
 私はここで一つの仮説を推したい。
 羊皮紙などから大変古いものと捉えがちだが、16世紀と言えば文学的な部分も見逃せない。例えばドイツ中世文学である「ニーベルンゲンの歌」(作者不明)などを見るとヴォイニッチ手稿と似たような感覚を得られるのではないか。
 この頃、異世界モノの詩をよりリアルに近づけるためにこういった資料集が作られた可能性も1%ぐらいあるだろう。もちろん書かれた文字は作者しかわからない法則で書かれているだろうし、もしかしたら意味は無いのかもしれない。こういう世界観なんですよー、という大雑把なアイディアやラフ画の集まり、現代で私たちが「設定資料集」としてありがたがっている類である。
 もちろんこの仮説は突けば簡単に崩れ去るだろう。しかし、私がヴォイニッチ手稿を見てまず初めに感じたのはOPEDの歌詞であったり、ファン垂涎の6ページ折り畳み魔方陣ポスターである。

 

謎が解かれるのか

 他にも様々な説が溢れかえるヴォイニッチ手稿、アウトサイダー・アートであったり、オカルトブームをでっちあげるために作られた偽の文書の可能性も否定できていない。
 またこういった魅力的な神秘性は創作作品にも数多く登場する。植物が人間を支配する世界という説はなかなか好きである。
 これは有名な話だが、ヴォイニッチ手稿は前述したバイネッケ・レア・ブック・アンド・マニュスクリプト・ライブラリーのサイトでも見ることができる。ぜひ、貴方の目で見た直観を信じていただきたい。
http://brbl-dl.library.yale.edu/vufind/Record/3519597
 描かれた正体不明の植物たち、いずれ地球上に現れる日が来るのかもしれない。その時は多くを語る必要は無いのだろう。
 
 暗号解読や誰が書いたのかなど、まだまだ謎が残っている。 後編にGO→オーパーツ「ヴォイニッチ手稿」と「薔薇十字団」 後編 (2/2)

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小林RH

編集長オカルテック
ネットゲーム、アナログゲーム、ギャンブル、ダイエットなどの記事をメインに オカルトといえばホラーなイメージを覆すため日々執筆中 「オカルトとは誰でも楽しめるエンターテイメント」