ゼノンの渦巻ジャンケンパラドックス
そういえばこの前、河川敷を散歩しているとミステリーサークルを発見した。荒れ果てた地に描かれた紋様であるが、偶然にも私は日本語を学習していたので、かろうじて書かれている文字を読み解くことができた。このミステリーサークルの端には日本語で「始点」という意味の文字が書かれている。不思議な事に、渦巻状になっているど中心にも、この「始点」を意味する文字が書かれていたのだ。
始まりがあれば終わりがあるという考えは否定される事になる。この渦巻は螺旋を意味する、螺旋とはいわば世界を意味している。このミステリーサークルに込められたメッセージは「世界には始まりしかなく、私たちが終わりだと思っている点は始まりである」ということだ。一体いつの時代の知的生命体が作ったものなのか、使われている言語などから考察すると同じ日本の民族である可能性が高い。今日はこのミステリーサークルの謎に迫っていきたい。
渦巻ジャンケン
このサークルは実は昔に見た事がある、いわゆる子供の遊びで白線を書いた事がある。調べてみるとこれは「渦巻ジャンケン」と呼ばれる遊びに使う紋様であると判明した。私の古代悠久への想いは一瞬にして子供の遊びにシフトした。それにしてもこんなに綺麗に渦巻を描くのはすごいと思いながら、この渦巻ジャンケンを考えていた。
渦巻ジャンケンにはルールがあるのだが、一応ここでおさらいしておこう。2人以上いれば遊ぶことができるぞ。
- 両端のスタートに各チームが並ぶ。おそらく真ん中のチームは窮屈である。
- スタートの合図と同時に各チームは走り始める。
- 相手チームとぶつかったら、そこでジャンケン!
- 勝ったチームはそのまま進み、負けたチームは他のメンバーがスタートし始める。
- 相手スタートにたどりつけると勝利。
この時、負けたメンバーもスタート地点に戻ることで次の走者として待機することができる。こうしてグルグル回ってジャンケンをするゲームなのである。
このゲームには“終わりがない”
さて、このゲームの勝利条件は相手のスタートにたどり着くことなのだが、果たしてこれは可能なのか。実際に渦巻を伸ばしてまっすぐにする事で確認してみよう。この状態から各チームスタートするわけだ。
走者の足の速さや、旋回の向きや角度によって多少前後するが理論上ちょうど真ん中で接敵することになる。この時点でジャンケンが行われる。移動距離は全体の2分の1ということになる。
ジャンケンの勝敗が決まった時点で、次の走者がスタートする。ちなみに画像ではジャンケンの衝撃によって走者が死亡しているが、並び直すため走者は無限に存在するものと考える。
残りの距離に対して2分の1地点で接敵することになる。つまり渦巻ジャンケンというゲームは「ジャンケンに勝つたびに残り距離の2分の1進むことができる」わけである。
果たしてゴールはあるのか
常に「残り距離の半分を進むことができる」わけだが、何回勝ち続ければ相手チームのスタートへたどり着くことができるのだろうか。進む距離がmmなどの単位になったとしても、永久にゴールに辿り着くことができない。アキレスが亀に追いつけないように、渦巻ジャンケンは勝利できない。
終わらせないルールだったのではないか
おそらく渦巻ジャンケンは最初から終わることを省いたゲームデザインだったのではないだろうか、例えばジャンケンで負けた人は走者に戻ることができないルールだとすればただジャンケンをするだけでも同じ結果になるのでゲームとしては成り立たない。かといって移動距離を決めてしまうと走る必要がなくなり、こちらも結局のところジャンケンの勝率が全てになってしまう。
子供心に早く走ることや、ジャンケンに負けても素早くスタート地点に戻ることで勝利に繋がると錯覚させているデザインだといえる。決着が付くとしたらチームの心が折れた時だろう。最終的にこのミステリーサークルは子供を運動させるために描かれたものとしておこう。それではまた次のミステリーで。
小林RH
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