朝モス「ライスバーガー朝御膳」は店員との心理戦であった
ふいにモスバーガーが食べたくなったので朝っぱらから並んでモスに攻めてきた。狙うは朝モスの「朝ライスバーガー朝御膳(たまご 旨だし醤油ソース)」である。朝が3連続も続くこの憂鬱なネーミングに圧倒的成長に通ずる精神修行を感じる。
モスは某M社よりも店舗が少ないが、都合よく通勤ルートに存在するのがわかったので早速今朝から行ってきたので報告したい。
結論から述べるとトリプル朝バーガーは大人の対応力、洞察力、適応力のトリプル力が求められるモノであった。
眉一つ動かさず店員と戦った記録をここに残しておく。
第1の「値段錯誤」
時刻は9:40、店に入るなりまずは朝モスがやっているのかどうかチェックする、しかし某M社と違いレジ上などに特別な掲示は無かった。
この時点で心拍数が2ほど上がる「朝モスが実施されていなかった場合の注文」を考えつつ、レジにゆっくりと向かう。ちなみにやっていなかった場合はリッチモスチーズバーガーゴルゴンゾーラチーズソースを注文する予定であった。これも非常に長いネーミングであり、特に最後のゾーラチーズソースなどの語感の良さから是非ともフルネームで注文したい一品である。
遠目で確認した朝モスメニューが拡大されていく。メニューにはわかりやすく商品名と英字記号が書いてあるのだ。おぉミステイク、私はここまで予想をしていなかった。この記号というのは実に厄介である。
ネットで検索しておくべきだった。「モスの店員だが何か質問ある?」スレがあれば間違いなく「朝モスって記号で注文したほうがツウっぽいの?」などと匿名で書き込んで、その回答を待っていた。
思考を0.05秒で蒸着させ、こうなれば奇手「他の店舗では常連なんですよ感」を使う。
メニューを見ずに「アサゴゼンのたまごドリンクセットでジンジャエールのアイスねー」
私はこの時点で先手を取ったと確信しながら小銭で560円を出した。「お会計560円です」の前にジャスト金額を置けば、それはもう常連感しかないはずだ。
「お会計610円です」
耳を疑った、その後数秒でレジのこちら側の画面を確認する。表示は610円。保つんだ思考、導き出す解答。咄嗟の8%掛け。
頭の中には計算式が並ぶ「56×8=448、小数点をズラし44.8+560=604.8、見えたぜ四捨五入の610円がよッ」
「あれ、これ50円玉じゃん。100円100円……」と、店員の耳には30dB程度に聞こえるように呟く。
会計を済ませると、ニヤリを笑った店員の口元が見えた気がした。
流れるようにメニューに目を落とす、右上に書かれた「※表示価格は、消費税込みの価格です。」の文字。
印字されたレシートは真実を示していた「ジンジャエールMサイズ」
彼女の作戦は、常連感には常連への提供感だ。ドリンクセットは基本的にはSサイズで提供するものを、Mサイズで出してきたのだ。
しかも上手く私の「ジンジャエールのアイスねー」という、ジンジャエールはアイスしか無いのに「アイスねー」という言葉を聞き間違えた事にしたのだ。
これは「ジンジャエールの○○で」と言われれば、サイズの変更だという意識が高かった店員による錯誤かもしれない。彼女の耳には「ジンジャエールの、あMで」と聞き取っていたのかもしれない。もちろんこれを指摘してしまうと分かりづらい注文をしたこちら側の負けになる。
オーダーという前哨戦は私の完敗であった。
第2の「漬物小皿」
朝御膳は日本の朝食をイメージしたものになっている、実際どんなものか楽しみにしていたのでレシートを見ながらの敗北感は薄れていた。
まず第一印象としては「お盆はちゃんと付いてる!」である。実際ついてる。
とりあえずデカいジンジャエールを飲みつつ、ライスバーガーたまご旨だし醤油ソースを食べてみる。
ライスバンズと玉子焼きだけのシンプルなメニュー内にある素材の合わせ技だが醤油ソースが実に朝食感を出している。玉子掛けごはんをイメージしているそうだが、どちらかと言うと目玉焼き丼や玉子焼きをおかずに食べる白米といった感じである。
合間に飲む豚汁が微妙な薄味である。味噌汁は3時間ぐらい保温してしまったせいで味が濃くなったのが好きな私には少々物足りない。
ごはん、豚汁、ごはん、ジンジャエール、豚汁、ごはん。さて、そろそろだろう。
食べている間、常に考えていた。この漬物、どうやって食うのかという重大な点に。そうここはハンバーガーショップ。運ばれてきたトレーの上をいくら探しても箸やフォークなどというものは置かれていないのだ。レジからは先ほどの彼女が何やらこちらを見ている。ははん、なるほど2勝して初めての勝利というわけかモスバーガーは。
私は密かにプランを考えていた。
【食器とか無いですか?と店員に聞くプランA】
もちろんこれは「無いです」と言われた時点で負けだ。相手に主導権を奪われてしまう悪手である。
【小皿を掴んで一気に口に放り込むプランB】
漬物の水分量を考えれば、小皿について落ちてこない可能性がある。そうなれば失態を見せつけることになり負ける。安易には選べない。
【今ある食器を使うプランC】
私はこの作戦を選択した。
もうお気づきだろうが、残された手段はストローである。しかしストローで吸うには漬物は大きすぎる。
そこでストローの重心を図りつつ中央で折るのだ。すると、こういう風に箸が出来上がる。
どうだ、と言わんばかりにレジを見るとサッと顔をそむけられた。どうやら第2ラウンドは私の勝ちのようだ。
これが大人の機転を活かした適応力なのだ。
第3の試練
モスバーーーーガーーーーーーー!!!
(後で聞いたら小さいスプーンとフォークが付くそうです)
小林RH
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