記憶力の疑問、再現力の手順が記憶力の差なのか?
記憶について最近疑問に思っていることがある。
そもそも私たちは何を記憶しているのか、という点である。例えば一週間前の夕食を知りたい場合どうだろうか?
「覚えている事を思い出す」のだろうか。
私はここで「新しい記憶が作られる」と感じる。カレーを食べていたとしても、寿司を食べていた記憶が作られた場合は寿司になる。
思い出す力=再現力こそが記憶力
記憶力というのは主に海馬が司っているとされているが、海馬に記憶されるのは電気信号である。
そしてその信号を取り出す際に、私たちが「夕食はカレーだった」というものに変換している。
この取り出す事を繰り返すと、レセプター増加や神経伝達物質の増加が行われる。これにより記憶として定着していく。
また命に係わるような重大な記憶はタンパク質が合成され、シナプスが成長し、個別の記憶回路になり海馬以外の脳内細胞に移される。いわゆる長期記憶と呼ばれるモノだ。
記憶再現力の差
記憶力の差というものがある、記憶力の良い人や悪い人が存在する。
その差はどこにあるのだろうか。少し前の私ならば、おそらく「記憶するという脳の仕組みを知らないから」と書いていたかもしれない。
もちろん記憶する仕組みを理解し、何度も電気信号を送ることで神経細胞を発達させることができるため効果は出る。
疑問を解決していく間に気づいたことがある。
それは海馬に流れる電気信号を正確に読み取れているのか、という疑問である。
覚える際に流れる電気信号が記憶だとするならば、記憶を再現する際に流れる電気信号は新しい記憶になるはずである。
これがもし正確に再現されないとしたら、伝言ゲームのような形で一番最初の電気信号が徐々に変化していくわけだ。おそらく記憶が上書きされていく。
間違った記憶として蓄えられる仕組みである。
思い出せない時の記憶
さて何かを思い出そうとする時に完全に思い出せなかった場合や中途半端に「何だったかな」と思い付いた場合、おそらく同じような電気信号が流れる。
「〇〇は何だったか思い出せない」という記憶が形成される。
必要の無い記憶は時間と共に電気信号が弱くなり忘却されるが、人間の脳は信号を再現することで新たな記憶として思い出す事ができる。
「似たような記憶」や「間違った記憶」、「思い出せなかった時の記憶」こういった電気信号が混在することで記憶の思い出しが曖昧になるのだ。
情報をどう再構築するか
再現力というのは記憶された信号の処理部分だ。「夕食」の話に戻ろう。
少しずつ部分的に思い出したいシーンを再構築していく。この再構築の手順は人によって違うはず、まずは食器を思い浮かべる人もいるし、食べた場所を思い浮かべる人もいる。
その全てがトリガーとなって「何を食べていたか」というシーンの再現になる。
「食べていた時にどんな服を着ていたか」「誰と食べていたか」などの記憶も再現することが可能だ。それが正確かどうかはわからない。
「金曜に、お店で、友人と、箸で、ハンバーグを、食べていた」という記録があったとしても、
「金曜は、お店で、友人と、箸で、寿司を、食べていた」と思い出せば、記憶が上書きされる。
時間が経過するに連れて新しい記憶で上書きされていく。「お店で」「箸で」食べるのは「寿司」という記憶が多ければ間違った上書きが起こりやすいだろう。
再現する力=想像力
さて断片的な情報から物事を読み解く力というのは何だろうか。
これは推理力であったり、読解力であったり、千里眼や読心術など多岐にわたる能力である。総じて想像力とするのも面白いだろう。
一見して記憶力とは関係のない能力が、記憶力(記憶を再現する力)に影響しているのではないかと感じている。
なかでも「夢」と「記憶」は関係性が高い。
睡眠中に見る夢は脳はストーリーやシーンを構築している、夢の内容を精査すれば記憶の再構築だという事は理解できるはずだ。
そしてその間、海馬ではレミニセンス現象と呼ばれる記憶の整理が行われている。
(つづくかも)
小林RH
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