コンビニで見つけたグリシンゼリーは睡眠に効くのか

 「おやすみからおはようまで」そんなキャッチコピーが付けられた食べ物を見つけた。株式会社ファインから発売されているグリシンゼリーである。医薬品というわけでは無く、もちろん食品である。パッケージの様子やキャッチコピーなどからおそらく「睡眠に関する何か効能がある」ぐらいの事は推測できるのだが、薬事法的な事から一切触れられていないわけだ。一種のオカルト食品のような存在である。入っているとされるグリシン、L-テアニン、ギャバなどが本当にプラセボ効果以上のものがあるのか調べておきたい。

深い夜をお手伝い

 さて裏面の栄養成分表示にはグリシン3g、L-テアニン0.2g、GABA0.1gとなっている。なんとなく聞いたことがありそうな成分であり、テアニンはお茶にしか含まれていない、ギャバなんかは昔よくストレスを緩和する食品みたいなのに使われていた。ちなみにカフェインの表示もあり、こちらは0gとなっていた。入っていないなら書かなくてもいいんじゃ……と思ったが、カフェインは睡眠に対しては天敵であり、まるで「睡眠の味方ですよ」の意思表示とも思える。

グリシン

 グリシンについて調べようとWikiを開くと化学系以外の人間にはまるで呪文書を読み解く気持ちになるのでおすすめしない、私のような人間は上手くいけばグリシンのページを読み進めているうちに睡眠に突入するので効果はありそうだ。眠気に耐えながら読んでみると「アルギニンとグリシンが結合してクレアチン」と、あぁあのよくエナジードリンクに入ってるアルギニンと組み合わせたら肝臓でクレアチンが生成されるのか……と睡眠と全く関係ない所で関心を持ってしまった。

 福岡県薬剤師会のページによるとグリシンは睡眠と関係の深い深部体温を低下させて睡眠の質を上げるという示唆があるとしている。1日3gを睡眠前に摂取することによって睡眠深度、中途覚醒回数の改善がみられる臨床試験結果が掲載されていた。注意点として「グリシンは抗精神病薬のクロザピンの効果を減弱させる報告があり、同時使用は避ける」というのもあるので気をつけたい。

L-テアニン

 テアニンはなかなか魅力的なアミノ酸である。臨床試験だけでも様々なプラス効果が確認されている。本品に入っている200㎎摂取で十分なリラックス効果が確認されており、今までの健康食品でツッコミ所である「血液脳関門を通過できるの?」に対してもガンガン通過するので脳内で作用する。その他にも様々な効能が研究されているが、睡眠に関してはグリシンと同じく中途覚醒の減少や起床時の爽快感などが認められている。

GABA

 寝る30分前にGABAを摂取すると寝付きがよくなる事が確認されている。これはGABAが副交感神経活動の活性効果があるためリラクセーション効果が得られるからという報告がある。実際にGABAがどのように作用するかは一時期議論になっていたので私見としてはあまり期待していない。

思った以上にすっぱい

 食レポも重要である。このグリシンゼリーは6包入りで、上記の効果が出たという量を摂るには2包食べるのが良い。パッケージを開けた時点でほのかに香る駄菓子感、懐かしの20円や30円で売られていたあの色とりどりのスティックゼリーの匂いがするのだ。私のような人間はもうこの時点でノスタルジックな気持ちに入り、リラックス効果が認められていしまう。1包あたりは15gなので、思った以上にスティックの半分ぐらいしかゼリーが入っていない。色を確かめるために小皿に移してみると爽やかな寒天菓子のような優雅さを感じる事ができる。

 本品の味は白ぶどう味となっているが、いわゆるマスカット味だ。白ぶどうというよりマスカット、しかもやけに酸っぱいと来たもんだ。食感はこんにゃくゼリーよりも弱めの程よい固さ。マスカット味も変な感じも無く美味しい。

健康食品として見れば3日分

 1袋に6包入り、1日2包が目安という事でコンビニでの販売価格税込み299円を見ると1日100円のリアル課金である。睡眠改善効果というのはいわゆるサーカディアンリズム(24時間の体内時計サイクル)を整えるというのが重要であり、1日2日よく眠れたからといって良くなったわけではない。本気で不眠症で悩んでいるのならばしっかりとしたメンタルクリニックを診療するのが良いだろう。あくまで健康食品はおまじない程度のものである。

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小林RH

編集長オカルテック
ネットゲーム、アナログゲーム、ギャンブル、ダイエットなどの記事をメインに オカルトといえばホラーなイメージを覆すため日々執筆中 「オカルトとは誰でも楽しめるエンターテイメント」