MPポーション、アブサンとツヨンと黙示録

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 たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の三分の一とその水源の上に落ちた。
 この星の名は「ニガヨモギ」と言い、水の三分の一が「ニガヨモギ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ。

 この文章はいわゆるヨハネの黙示録の登場する天使が、ラッパを吹いた後に起こったとされる川の三分の一が苦くなったという謎の描写である。
 私はMP(マジックポイント)という概念が昔から存在すると考えている。おそらくニガヨモギはその回復薬の一つなのだ。

 

アブサンというMPポーション

 そのニガヨモギを使った代表的な飲み物が「アブサン」である。ニガヨモギを主原料とし、アニスシード、ヒソップなどのハーブを使った酒である。これに緑色が付けられる。
 MPを回復させる液体と言えば緑よりも青が多いイメージだ。そういうわけか、アブサンの種類の中でも青色を付けたものがある。
 HPを回復させる液体が赤色つまり血をイメージしているならば、青や緑は精神に関する何か。おそらくそれは草であると考える。

 話が逸れたが、このアブサンという酒はアルコール分が非常に高く(40~70%)、とても独特な風味と苦みを持つため一部のファン以外にはただの毒物扱いである。ではなぜこのアブサンを調べているかというと、ニガヨモギの成分である「ツヨン」にオカルト性があるからだ。

 

ツヨン(thujone)の効果

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 ツヨンには様々な逸話があるのだ。

 まずツヨンは化学式で「C10H16O」である。このツヨンは大量に摂取すると、麻酔作用、嘔吐、幻覚、錯乱、痙攣などの症状が出る。
 これは大麻成分であるTHC、テトラヒドロカンナビノール「C21H30O2」を簡易にしたものとも言われ、ツヨンにもTHCに似た脳内作用が出るとも言われている。

 他にもニガヨモギの洋名であるワームウッド(学名:Artemisia absinthium アルテミシア アブサンティウム)の語源にも特徴がある。
 ドイツ語の[Wermut]精神を保護するもの、という意味がワームウッドの語源ともされている。精神の保護、どういう意味だろうか。

 そしてこのツヨンが原因で幻覚など向精神作用が起こされるとされ、20世紀初頭にスイス・ドイツ・アメリカなど欧米各国でアブサンの製造・流通・販売が禁止される。
 1981年、WHOがツヨン残存濃度をリキュールで10ppm、ビター系リキュールで35ppm以下を条件に承認。

 有名な画家や詩人がアブサンをこよなく愛していたことも知られている。特にゴッホの逸話については強烈なインパクトがある、彼は重度のアブサン中毒であったとされる。「お前の書いた肖像画の耳が変だぞ」と言われ自分の耳をそぎ落とすというトンチを利かせた解決法で乗り切った点など評価が高い。

 ツヨンのオカルト性が高い理由として効果の無さが挙げられる。
 現在の見解ではアブサンに含まれるツヨンによる向精神作用よりも、高いアルコール度数による酩酊状態が先に現れるためツヨンによる精神作用などは起こらないのだ。
 つまりほとんどアルコールで酔っているだけなのだ。それでもUndergroundな掲示板では向精神作用の報告が絶えないのはやはり上に挙げた神秘性ゆえであろう。

 (昔のアブサンはツヨン濃度が1800ppmなんてのもあったとされるため、本当にMPを回復させる効用があったかもしれない)

 

アブサンの飲み方

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 アブサンにはいくつか飲み方が存在する。こういった儀式性がまた一つのMP回復効果を増進させている可能性がある。
 アルコール度数や香り的にストレートで飲むには少々難易度が高い。
 
 アブサンには一つ特徴があり、水を加えると非水溶成分が析出(せきしゅつ)、つまり白濁した色になる。この現象にも神秘性があり、何かしらのアルコール以外の効果を感じさせる要因になっているのだろう。

 水割りにする場合には、アブサンスプーンといったものをグラスに乗せ、その上に角砂糖(アブサンを染み込ませておく場合もある)を置き、火を付ける。ある程度したらミネラルウォーターを注いで、そのままスプーンで混ぜて飲むというものが主流だ。
 ドリップスタイルといった、ファウンテンを使用しミネラルウォーターを一滴ずつ注いでいくものもある。

 みんなで水を苦くしよう!

 

アブサン・スプーンのコレクション性

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装飾模様の穴があいたアブサンスプーン。
アブサンに水を注ぐ際に角砂糖を乗せるために使います。
ティースプーンよりはかなり大きく、平らな形をし、グラスの縁にちょうどいい按配に乗るように設計されています。

 
アブサン・スプーンはかっこいいぞ。
穴の開いたスプーンなのでアブサン以外には味噌汁の豆腐をすくうぐらいしか活躍しない点も見逃せない。

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小林RH

編集長オカルテック
ネットゲーム、アナログゲーム、ギャンブル、ダイエットなどの記事をメインに オカルトといえばホラーなイメージを覆すため日々執筆中 「オカルトとは誰でも楽しめるエンターテイメント」